もう一つの観光列車が運行されている。
それが、伊豆急行の親会社である、
東急が催行する「THE ROYAL EXPRESS」である。
伊豆クレイルは片道食事付きプランで、
12000円ほどであったが、
このザロイヤルエクスプレスは、
・クルーズプラン ・・・ 約10万〜20万円
(片道食事付きプラン+宿泊食事付き+現地観光)
・プラチナクラス ・・・ 35000円
(コース料理の片道食事付きプラン)
・ゴールドクラス ・・・ 25000円
(お重形式の片道食事付きプラン)
と、高額な値段設定である。
しかし、この観光列車も前から乗ってみたい
電車の一つだったので、少し奮発して
ゴールドクラスに公式HPから申し込み、
当日、乗車してきた。
「ザ・ロイヤルカフェ」にて受付とのことなので、
そちらへ向かう。
カフェ前で受付を済ますと、
クルーの方が、
カフェ内の指定の席に案内してくれる。
私が乗車する号車の担当の方から、
記念乗車券やパンフレットなど一式を頂き、
今日の行程の軽い説明を受ける。
その後、出発までの待機時間には、
カフェのドリンクのサービスが受けられるので、
コーヒーか紅茶の中から、私はコーヒーを注文した。
出発時間になり、
ザ・ロイヤルカフェを後にする。
カフェを出るとき、スタッフの方が
鐘をならしながら、送ってくれる。
少し優雅な気分にさせてくれる。
ザロイヤルエクスプレスが出発する、
JR横浜駅のホームには、既に列車が停まっていた。
軽く写真を撮り、私は早めに車内へ入る。
車内の指定された席に座ると、
既にランチのためのセッティングがされていた。
ザロイヤルエクスプレスは、
デザインしたことで知られる、
水戸岡鋭治さんが設計している。
なので、今回は車内の写真は余り撮らなかったが、
車内にはふんだんの木材が使われ、
ランチのための食器など一つ一つが
とてもこだわって作られていた。
出発の時間になり、
ザロイヤルエクスプレスが動き出す。
JR横浜駅ホームでは、なんと
東急電鉄の駅員さん達が送り出してくれた。
出発し、早速ウェルカムドリンクを頂く。
ウェルカムドリンクは、
スパークリングワインと、
ノンアルコールのスパークリングワインから
選ぶことができ、私はノンアルコールの方にした。
ウェルカムドリンクなんて、
生涯でそんなに飲んだことがないので、
早速、少し贅沢な気分である。
列車は、JR東海道線を
比較的速いスピードで走行していく。
ウェルカムドリンクを飲み終わった後、
ランチが始まる。
まずは、ランチのドリンクを注文。
ランチを監修した山田チカラさんのご実家とされる、
山田農園の煎茶にした。
ちなみに、ザロイヤルエクスプレスでは、
ドリンクは、終点の伊豆急下田駅に到着するまで、
アルコールも含めて、全てフリードリンクである。
ゴールドクラスなので、ランチはお重形式。
おしながきから拝借すると、
〈上の段〉
タラモサラダ
なすボロネーゼ
きのこオムレツ
カリフラワーとイカのカレー風味
カマス一夜干し
セロリと人参のきんぴら
石川芋牛肉煮
素揚げ野菜
〈下の段〉
押し麦ごはん
わさび漬け・金山寺味噌
〈つけあわせ〉
大和芋と自然薯のとろろ
と、とてもこだわったものである。
料理は季節によって、変わるようだが、
今回のメニューは、和食とスペイン料理の
融合を目指したものらしく、
食べていて、とてもユニークでかつ、
今までに食べたことのないような、
新しい美味しさだった。
ペロリと食べてしまった。
列車が相模湾沿いを走行した際に、
ドリンク2杯目の地ビール「伊豆エール」を注文。
普段、ビールを飲まない私でも、
とても飲みやすいビールだった。
このように、
ザロイヤルエクスプレスのドリンクは、
全て、伊豆地域の地産のものが提供されており、
旅情を盛り上げてくれる。
美味しいビールを飲みながら、
一人旅情に浸っていたところ、
デザートが出てきた。
「さつま芋エスプーマとほうじ茶プリンアイス」。
なんでも、エスプーマとは、
特別な製法を用いたムースのことで、
初めて食べるような、きめ細かい泡が入った食感で、
これもすぐ完食してしまった。
食後の紅茶は、「河津桜の燻製紅茶」。
伊豆地域で有名な、河津桜のチップを
使用した、ユニークな紅茶で、
飲んでみると、確かにローストされた風味が
伝わって来て、美味しく不思議な味だった。
列車はあっという間に伊東駅に到着し、
ここから伊豆急行線に入る。
クルーの方に、車内で記念写真を撮って頂いた。
ちなみに、ザロイヤルエクスプレスに乗るに
当たって、事前の手紙には
「服装はスマートカジュアルをお勧め致します」
とあり、私はネクタイなしのスーツで行ったが、
少なくとも、ゴールドクラスでは、
ラフな服装で来ている人も多かった。
ドリンク4杯目は、「静岡いちごサイダー」。
いちごの甘みがじわっと伝わって、
これもまた美味しい。
列車は伊豆高原駅に到着。
この駅では30分近く停車し、車外に出られる。
ここでも、クルーの方に記念写真を撮って頂いた。
とても良い記念になった。
車外に出ると、伊豆高原駅の
「伊豆急おもしろ駅長」から、
地元の特産品である岩のりを頂く。
この他、駅ホームでは、
地元の名物などがブース形式で売られていた。
ちなみに、伊豆高原駅は、
伊豆急行本社の最寄駅であり、
発車時刻が近づくと、伊豆急行の社員、重役、
そしてなんと社長まで送り出してくれた。
伊豆高原駅を出発して、本日のドリンク5杯目は、
「手むきみかんジュース」。
おそらく100%のみかんジュースだが、
舌ざわりがとても濃く、本当に丸ごとみかんを
食べているようなジュースだった。
列車は東伊豆海岸線で一旦停車する。
ここで、ザロイヤルエクスプレスのテーマ曲を
作曲したバイオリニストである、大迫淳英さんの
生演奏を聴かせて頂くことになった。
列車でコーヒーを飲みながら、
伊豆の海岸線を走りながら、
そして、バイオリンの生演奏を聴きながら
過ごす時間は、何とも言えない優雅な時間だった。
横浜駅から約3時間、列車は
あっという間に終点の伊豆急下田駅に到着。
クルーの方達にお礼を言いながら、下車。
すると、ここでも地元の方から、
歓迎のお花を頂いた。
下田駅に着くと、
今回のザロイヤルエクスプレスの行程は、
全て終了となるが、せっかくなので、
下田駅近くの寝姿山にロープウェイで
登ってみることにする(往復1030円)。
最近、ロープウェイのゴンドラが、
ザロイヤルエクスプレスと同じデザイナーの
水戸岡鋭治さんによって、リニューアルされた。
同時に、寝姿山山頂には、
これも水戸岡さんデザインによる、
レストランである、「ザ・ロイヤルハウス」が
オープンした。
そこにも行ってみる。
レストランでは、
ニューヨークチーズケーキ(500円)を注文。
観光地にしては、良心的な価格設定だと思う。
味も大量生産感は無く、むしろ手作り感があり、
美味しく頂きました。
ザロイヤルハウスの後は、
少し歩いて、寝姿山の展望台へ。
曇っているのが残念だったが、
展望台からは、下田湾が一望でき、
綺麗な景色だった。
展望台から更に登ったところにある、
五島顕彰碑。
伊豆急行線は、
かつての東急グループ総帥である、
五島慶太さんの尽力によって作られたと
言われている。
ロープウェイに乗って、下田の街へ下りる。
ロープウェイからも、下田の街を一望できた。
行きに思いっきり贅沢してしまったので、
帰りはのんびりと鈍行で帰った。
帰宅後、私の心の中に
雷に打たれたようなカルチャーショックが
残った。
今まで、色々な観光列車に乗って来たが、
その中でも、ここまで手厚いサービスの
観光列車は、正直初めてだった。
もちろん、それだけ値段も高めな訳だが、
一番安いゴールドクラスでも、
ザロイヤルエクスプレスの世界を十分堪能出来る
と思う。
ニュース等でも話題になっているが、
今度は、北海道を走ることになった、
ザロイヤルエクスプレスの、
今後の発展に期待したいと思う。